「もったいない」から価値を生み、循環へとつなげる支援のかたち

 

 製造現場では、日々のように規格外品や端材(以下、素材)が生まれています。

本来の用途からは外れてしまったとしても、それらを「もったいない」と感じている企業の方々は少なくありません。

その「もったいない」という感覚こそ、サーキュラーエコノミーを考える出発点のひとつであると私は感じています。

今回は、その現場で私自身が考えている「支援のかたち」について整理してみたいと思います。

 

 支援にあたっては、「もったいない」と感じられている素材をどうすれば価値ある形で有効活用することができるか。

そこから一緒に考えることを出発点としています。ただし、その方法は一つではありません。

現場の状況や素材の特性、発生量に伴う処理費用、取引先との関係性などに応じて、柔軟にアプローチを変えています。

以下は、私が現場で実際に用いている三つの支援の型です。

 

 1.ダウンサイクル:動脈産業 × 静脈産業の連携

 発生した素材を、静脈産業(廃棄物処理・リサイクル業など)の技術を活かして有効活用するケースです。

たとえば、食品リサイクル法の再生利用手法に則り、飼料化・肥料化の順で検討を進めます。

元の用途より価値は下がるかもしれませんが、廃棄物として処理するよりも環境負荷の低減など、

意味のある選択となることがあります。

 

2.アップサイクル:動脈産業同士の連携

 異業種とのマッチングにより、元の製造業者とは異なる形で新たな商品・製品、用途に生まれ変わるケースです。

たとえば、食品残さが他社の商品に組み込まれるような例です。独自の加工技術やイノベーションが求められる一方、

ブランド価値の向上にもつながる可能性があります。

 

3. アップサイクル(ダウンサイクルからの価値転換)

 当初は「廃棄物処理費用がかかる」と見なされていた素材が、運搬・保管・管理などの条件を整えることで、

有価物として売却できるようになるケースです。規格外の素材が他用途に転用され、経済的にも環境的にも

プラスに転じる可能性を見出す支援です。

 

近年では、動脈産業側の取り組みにより、製造段階での資源活用が進み、廃棄物そのものが減少する傾向も

見られるようになってきました。これは、廃棄物処理業の今後のあり方を見直すひとつのきっかけになるかもしれません。

 

 

 今回ご紹介した三つの型に加え、最近では製造や流通の上流工程に働きかける支援にも取り組み始めています。

いわば、「廃棄が生まれにくい設計・構造」を一緒に考える、サーキュラーデザイン支援です。このテーマについては、

今後改めて触れてみたいと思います。

 

もし「もったいない」に関して感じていることや、現場での疑問などがあれば、雑談のような形でも構いませんので、

ぜひお気軽にご相談いただければと思います。ここで述べた内容は、あくまで筆者自身の経験や考えに基づくものです。